数年前、錬金術に晩年のすべてを投入し膨大な研究を残したニュートンの手稿が公開された。
近代科学の父・ニュートンは、デカルトとともに合理 客観主義の源流とも言われるが、怪しげで魔術的という偏見のレッテルを貼られた錬金術に生涯の探究を試みたこととは、あまり知られていない。どこかタブー的な扱いを受け、裏舞台の話に扱われてきたように思われる。
それは、水銀による実験工房で、ニュートン自身も鉱毒の影響を受けていたことが知られるからだ。 だが、いのちのふるまい、遷移・循環する自然の原理の探求に、分け隔てはなかったのだろうと思う。実際に試みることこそ、じぶんの「心を観る」 ことなのだろう。
「過剰·欠乏」もまた、人間の心から生まれてくる。ほんのすこしでもよい、小さな力でそれを循環に変えることがきっとできるは ずだ。「多くが感じられる」ためには、素のふるまいで共感が引き出される環境がじぶんの身辺につくれるようなアイディアが不可欠である。
その思いに駆られて、私はこの8年あまり、『海の宮』というエッセイ(試み)の数で数えると十数冊分の日々を過ごしてきた。ようやく、エンパシームを 共通の資源として捧げる探究の成果と、互恵協働のコミュニティという試みをもう一歩進められそうなところにたどり着いた。私にとってはそのすべ てが谷川先生へのオマージュであり、その証としてこのささやかな一編を捧げたいと思う。
(了)2018.9.10
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(*注1)Isaac Newton’s Personal Notebooks Go Digital
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