No movement, no brain.(運動が脳を活性化する)
の:ねぇ、ドラえもん、どうしたら頭がよくなるの?
ド:その質問かぁ。端的に言うとね、「歩く」ことかな。
の:歩く?何かいいものが出てくると思ったのに!
ド:いちばんのオススメは、山路を登ることだよ。
の:登るの?疲れるだけじゃないの?
ド:山路を登る時さ、こういうことが起きるよ。
① 五感をフルに使う運動
② 景色の変化を味わえる
③ 脳の働きが活性化
の:③は、どういうこと?
ド:坂を登る時、自動的に心拍があがるよね。
の:ハーハー息が切れるよ。
ド:心臓から身体中に送られる血液が増える。
の:血が増えるといいの?
ド:脳への血流も増え、たくさん酸素が送られる。
の:そうすると?
ド:脳は身体でいちばんエネルギーを使うところ。
の:それで活性化するの?
ド:のびちゃんさ、なぜ、脳があるんだと思う?
の:考えるためでしょ。
ド:全身の細胞が共に働くために脳があるんだよ。
の:脳は考えるところ、身体は動くところ、じゃないの?
ド:ちがうよ。全身の細胞ひとつひとつの働きがつながっている。
の:全身で考えているって言うの?
ド:そう。脳は全身のコーディネーションをしているんだ。
の:へぇーそうなのか。
ド:運動するから脳がある。
の:あ、じゃさ、植物に脳はないの?
ド:ないよ。でも、植物にもすごい知性がある。
の:じゃ、どこでコーディネーションしてるの?
ド:動物みたいに中央にひとつじゃなくて身体全体に分散して。
Use it or Lose it.(使わないと失われる)
の:頭をよくするツールとかを出してくれるのかなと期待してたんだけどな。
ド:だからさ、山路がそれだよ。
の:山路って自然のものでしょ、ツールじゃなくて。
ド:捉え方次第だよ。ツールにもなるから。
の:どうして?
ド:山路には勾配があるでしょ。(*注1)
の:そりゃ、山は斜面に路があるわけだから。
ド:山路は、地球の重力をほどよく使うしくみみたいなもんじゃないか。
の:でも坂を登らないといけないんでしょ。
ド:どんなツールもおなじだよ。
の:じゃ、大きなツールなの、山路は?
ド:ひとりではなかなかできないことを可能にしてくれる。
の:足を動かせば自動的にいいことがあるってことか。
ド:そう、何も考えないでも、ガイドしてくれている。
の:そういうふうに考えれば、そうかもしれないけど。
ド:ほら、そうやって考えているじゃないか。活性化されるってこと。
夏目漱石の『草枕』の冒頭
「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に
坂の勾配が、適度な負荷をかけ、全身運動になります。
脳が刺激され、アイディアが生まれます。
もちろん、達人といえども、とつぜん名文句がでてくるわけではないでしょう。
いつもくりかえし、くりかえし、考えていること。
それが、自然の力によって、ふるいにかけられ、形ができてくるのです。
山路は、想像と思考に形を与えてくれるしくみ。
脳を活性化させるしくみ ② [静かにすわる] フィルターへ続く
出典・参照:夏目漱石『草枕』、以下のエンパレットなど
(*注1)勾配は、道の傾きを表します。勾配10%というと、(水平距離で)100メートル歩いた時、高度が10メートル上がります。5%から10%ぐらいの勾配をペースを持って歩くルーティンができると、その効用はとても大きいものになります。いったん登りだしてしまえば、山路に委ねて、自然に上にのぼっていけます。急にのぼろうとするのではなく、平地を長く、ある速さで歩けるようになったら、すこしずつ高さを加えていくかんじです。週末を利用するだけでも、1年で100万歩に達することができます。すべては、一歩が自然につながることです。