絵本『わすれられないおくりもの』より。
誰もが頼りにしていたアナグマの死期が迫っていました。アナグマは、自分が死ぬことを恐れてはいません。死んで体はなくなっても、心は別の形で残ることを、知っていたからです。
「最後の雪が消えた頃、アナグマが残してくれたものの豊かさで、皆の悲しみも、消えていました。アナグマの話が出るたびに、誰かがいつも、楽しい想い出を、話すことができるように、なったのです。
ある暖かい春の日に、モグラは、いつかカエルとかけっこをした丘に登りました。モグラは、アナグマが残してくれた、贈り物のお礼が言いたくなりました。
ありがとう、アナグマさん。モグラは、なんだか、そばでアナグマが、聞いていてくれるような気がしました。そうです、アナグマに聞こえました。」
アナグマからの「おくりもの」。
残してくれたものは「声のことば」です。
ひとりひとりが思い出して、生活に活かせる、ことばです。
「ことば」は、共に過ごした時間の結晶。共に感じた体験が、いつでも、現れてきてくれることです。
みんなの心の中に、アナグマは生きています。みんなが思い出すという行為の中に、生きています。
おくりものとは、おくられた者の心にできる。
共に歩み、共に感じた心。
I’m always with you.
出典・参照:Badger’s Parting Gifts (Suzan Varley)、スーザン・バーレイ『わすれられないおくりもの』
「英プラ」 トレイル 2 (35) I’m with you.