ぼうけんにでかけようかな。
『チム・ラビットと かかし』という童話があります。
チムは麦畑でかかしに出会います。だれも相手にしてくれず、ひとりぼっちのかかしに、チムは言います。
ぼくに、なにかしてあげられること ある?
かかしは、雨が降ってもぬれないように、服を着せてくれ、と答えます。チムは、近所の農家から素材を集めてきて、カカシに着せてあげます。立派になりました。チムは、新しいともだちに、詩をつくります。
むぎばたけの くさをおさめる。かかしは えらいおうさまだ。きじや そらをとんでいく とりたちは かかしのけらいだ。
むぎは かかしの ごてんのおつき。みどりのなみの その上に さやさや かぜが ふいてくると 千も、万もの むぎが おじぎをする。
よるになると 月がでて あかるいひかりを かかしにあてる。木でできたかかしは むぎのはたけの たったひとりの えらいおうさま。
チムとかかしは、大のなかよしになりました。かかしが本当に欲しかったのは、からだのつめものではなく、いつもいつもきてくれる友達でした。
5歳の時、私はチム・ラビットに出会いました。
いいえ、たったいまのわたしが、5歳のチムです。
チムは、かかしの身に、わたしは、チムの身になる。
それは50年前の「思い出」ではなく、いまが5歳の小さなじぶんです。
50年の月日は、どこにもありません。再びチムと出逢った、このひと時が、50年です。
野原を歩けば、かならず、何かに出会う冒険になります。
想像も冒険です。相手の身になるフリを演じるじぶんが、その冒険に現れます。
私たちはみな、いつも夢を生きています。それを、わすれているだけー
You’re always living your imagination.
出典:アリソン・アトリー『チム・ラビットのぼうけん』、「英プラ」 トレイル1 (7) What can I do for you?