杉晴夫さんは、こう言います。
「現代のわれわれの生活は電気によって支えられている。周囲には電気製品があふれ、空間には電波が飛び交っている。」
「人類がこの電気を中心とした文明生活を打ち立てるきっかけは、イタリアのガルバ二が2種の金属線をつなぎ、カエルの身体に接触させると激しく収縮することを偶然に発見したことであった。同じく、イタリアのボルタは、この発見からヒントをえて、電池を発明し、電池から得られる安定した電流を使用した研究により、人類は自然界における電磁現象の存在に気づき、現象の背後にある法則を利用して現代の文明社会を築いていった。」
現代文明は、日常生活のほとんどのことが、電気現象を活用することで成り立っています。でも、あまりにも「当たり前」になってしまって、何だか、他人事のようです。災害で停電になったり、事故があったりすると、思い出せるのですが。
実は、私たちの身体内にも、神経を伝わる電気があります。というよりも、実は、意識や運動を根底から支えているのが、「生体電気」現象です。電気は、自分の身体内の出来事だったのです。
人間は自然の一部。精神活動も自然現象の一部。
ただ、なかなか実感が持てませんね。それは、身体が自律的に働いてくれているからです。それでも、かいま見ることはできます。それは、虫歯や神経痛など「神経にふれる」トラブルが起きた時です。
激痛が走る痛み。つらいですが、それは身をもって実感できる、学びの機会です。その時は、考える余裕などありませんが、後で「他人事ではなかった」ことがわかります。
なお、「電気のつぶ」の伝達速度は数十センチだそうです。光速ではありません。想像してみましょう。
電気のつぶが、身にしみる。
Do you know what you are made of?
出典・参照:杉晴夫『生体電気信号とはなにか』