Let’s face it.(前を向いて)
ある人から、こんな話を聞きました。
「これ、自分に向いていないなーとか、よく聞きますね。
だから、「やらない」ってね。
不思議ですよね。自分に向いていない、って何でわかるんでしょう。
まだ、何もしていないうちに。」
「自分に向いていないことは、やらないほうがいい。」
誰がそんなこと言ったんですかね?格言でもあるのかい?
「自分に向いている、向いていない」っていう架空の条件づけね。
「やりたくない」理由を自分でつくりだしてるんだね。
何にもなかった話が、それで厄介なものになっちゃいますね、私が思うに。」
「あ、私の仕事?倉庫のマネージャしています。
たくさん、ものを運ぶ仕事です。頭も使いますよ。
でね、よく、言うんですよ。」
向き、不向きより、前向き。
「調子がいいでしょ、このことば。それにそうでしょ、
目の前の荷物をね、まず、運んでからね、って。前を向いているとね、忘れちゃいますよ。
そもそも、向き・不向きなんてね、わからないよ。
自分には。それに、どちらでもいいじゃないの、実際のところ。」
キエルケゴールは、こう言いました。
Life can only be understood backwards; but it must be lived forwards.
(人生とは、後ろにさかのぼってわかるものだが、生きるのは、前向きしかない)
物事には後から気づくものです。
思い出すこと、気づくことで、そうだったな、と後でわかるのです。
私たちは、前を向いて生きています。
ことさら、前に向きに生きる、と言わなくても。
生きるのは、前向きしかありません。
前を向いているからこそ、ふりかえることができるのです。
出典・参照:セーレン・キェルケゴール『死に至る病』、以下のエンパレットなど