ひ、ふ、み。

良寛上人に、心月輪というエピソードがあります。

ある家を訪れた際、桶屋が大きな鍋ぶたを作っていました。うまくいかず、壊そうとしたので、良寛さんはそれをもらって「心月輪」と書き、そこに置いていきました。
心月輪(しんがちりん)とは、月のように澄み切った心。清らかに輝く、悟りの境地を表します。

このような解説を見ると、そのような境地に達することは、現代社会に生きる人間には至難のことのように思われ、凡人俗人には無縁な話と決めつけていないでしょうか。

でも、月を見上げて、澄んだ心持ちがする、そのわずかなひと時が、誰にもまねのできない話のようには思えません。月のようなまるい形の板切れに、心が踊る気分になれない、ということでもなさそうです。