
The prepared mind changes the odds. (姿勢で確率は変わる)
野球は、点をたくさん取ると勝てるゲーム。そう思っていますよね。
でも、実はちがうのです。それは結果からそう言っているにすぎません。
野球は、アウトにならない選手が多いほど、負けないゲームです。(*注1)
アウトにならないことが必要条件。その上で、ヒットや長打が途切れず得点につながる連続性が勝敗を分けます。
近年、アメリカ大リーグ野球(MLB)では、従来の打率や打点、ホームラン数だけではなく、新しい指標が使われています。
たとえば、wOBA。
単打、二塁打、本塁打、フォアボールなどを、得点への貢献度で重みづけする指標です。
さらに、xwOBA。
打球の速度や角度から、本来どれほど得点につながる可能性があったかを見る指標です。(*注2)
結果を眺めるだけではなく、プロセスを見る。
プロセスを見るだけでなく、原因の側から期待値を見る。
つまり、まだ起きていない未来を、いまの中に見る考え方です。

Act as if you already have it. (それがあるつもりでやってみよう)
この考え方は、私たちの生活にも応用できます。
応用できることは、2つあります。ひとつは、見方です。
結果だけを見るのではなく、プロセスを見る。
プロセスだけでなく、原因の側から期待値を見る。まだ起きていない未来を、いまの中に見る見方です。
もうひとつは、何を測るかです。
野球なら、ヒットや長打が得点につながります。では、私たちの生活で、それにあたるものは何でしょうか。
それは、ことばの出力です。
ふと思うこと。
だれかのことば。
本の一節。
それがチャンスかどうか、その瞬間にはわかりません。
でも、あとから思えば、そこに何かあったと思える瞬間があります。
これが分母です。一日の中にある「使える瞬間」の総量。
では、分子は何か。
出力です。
その瞬間から、ことばを紡ぎ出せたか。声に出せたか。次につながることばにできたか。
単に時間を無駄にしないとか、よい習慣をつくるとか、そういうことではありません。使える瞬間を、どれだけ意味ある出力につなげられたか。
ただしゃべることではありません。
単に言語化することでもありません。
人に届くことば。
意味を持つことば。
何かを生み出すことば。
それがヒットであり、長打です。
Voice your insight.(着想は声に出力)
しかし、発想とは、頭の中だけで勝手に生まれるものではありません。
相手を聞く。
じぶんを聞く。
そのあいだに、ふと立ち上がってくるものがあります。
それを、声の宿ることばにできるか。
それが見えたら──
野球で、打球の質を見るように。生活の中では、ことばの出力の質を見る。
一日の中にある「使える瞬間」から、どれだけ意味あることばを紡ぎ出せたか。
どれだけ、それが次につながる重みを持っていたか。
それを、発想出力の期待値として見る。
そんな指標は、まだありません。(*注3)
でも、未来からの指標を、心に持つ。
すでにあるかのように、見てみる。
それだけで、見方は変わります。
まだない未来を、いまの中に見るようになるからです。
見える声を数える。
声の宿ることばを、無駄にしない。
インスピレーション上の指標でいいの?
はい、そうです。そこからはじまります。(*注4)
出典・参照:以下のエンパレットなど
(*注1)両チームに与えられたアウトは、27個。 その27個を、いかに無駄にしないか。 ヒットや長打が、どれほど途切れないか。得点につながる連続性(ストリーク)。これが十分条件になります。 それが勝敗を分けます。
(*注2) 従来の打撃指標とは、たとえば打率、打点、ホームラン数です。これらが三冠と呼ばれてきました。打率は、単にヒットを打った数です。フォアボールや守備の配置、その他いろんな要素、つまり運に左右された結果でもあります。その数字を見ただけでは、どんなふうに打ったのか、どれほど効果的だったのかはわかりません。そこで登場したのが、wOBAです。単打、二塁打、本塁打、フォアボール。それぞれが得点にどれほど貢献するかを重みづけして計算します。結果ではなく、貢献度を測る指標です。
さらに進化したのが、xwOBA(Expected Weighted On-base Average / 期待加重出塁率)です。打球の速度と角度。その二つから、本来あるべき数値を算出します。運を取り除いて、打球の質そのものを測るのです。強い当たりでもアウトになることがあります。詰まった当たりでもヒットになることがあります。 xwOBAは、その結果ではなく、打球の中身を見ます。打席に立つたびに、どれほど質の高い打球を打てているか。それが、選手の打撃の質を見ます。結果ではなく、貢献要因を見る指標です。
(*注3) 世界は、結果の指標であふれています。が、試験の結果、つまり点数や偏差値は、いろいろな要素に左右されます。覚えてきたものが当たれば得点になります。結果だけを見ていても、そこにあったはずのプロセスも、原因も、可能性も見えません。未来に向けた可能性を指標にすると考えるだけで、物事が違って見えるでしょう。xwOBAになぞらえて言うなら、xwIOA(Expected Weighted Inspiration Output Average)、発想出力の期待加重指標とでも言えるかもしれません。
