Empathemian「Self 2」

鏡にうつるじぶん(1)[意外な事実の発見]の続編です。

鏡は、物理現象だけではなくて、認知現象。
そして、脳と身体の習慣。そしてさらに。

のびた:ねぇ、ドラえもん。
ドラえもん:何?
の:この前さ、右と左が反対になるんじゃないって、言ってたよね。
ド:あー、鏡の話かい?
の:そう。文字が書かれたTシャツ着て、鏡の前に立ったんだ。
ド:ほう。
の:そうしたら、文字が裏がえしになった。
ド:そう。もともと向き合っている文字が、鏡でさらに向き合ったから反転したように見えるんだね。
の:ぼくから見て右側にあったものが左側に行ったよ。

Empathemia『Self 1』

Dreams remember you.(夢がじぶんを思い出す)

ド:うん、そうだね。でも、右と左は、そもそも反対ではない。どこの点で見るか次第。
の:もうちょっとさ、かみくだいて教えてくれない?
ド:たとえば、分かれ道。
の:右に行く道と左に行く道だね。
ド:どれぐらいの角度がある分かれ道を思い浮かべている?
の:90度ぐらいかな。直角。
ド:反対というのは、180度方向がちがうことだよね。
の:真ん中に立って両方を見た時っていうことでしょ?
ド:そう。それが反対。その時はもう、右と左じゃないよね。
の:あーそうか。前と後ろ。
ド:ひとつの路だったら、前と後ろが反対。左右じゃなく。
の:わかった。鏡も、前と後ろが反対になるんだね。
ド:向き合っているときに、そのように捉えているってこと。

ド:ひとつ、おもしろい実験ができるよ。
の:どんな?ぼくでもできる?
ド:もちろん。鏡をもう1枚。
の:もう1枚どうするの?
ド:鏡のじぶんと向き合っている時、左側に鏡を置いてみるんだ。
の:あ、それなら、ママの鏡台があるよ。
ド:その前に立ってみるとどうなる?
の:えーとね。向き合っているぼくのTシャツの文字がさかさま。
ド:左の鏡に映っている方は?
の:あ!文字が元にもどってる!
ド:鏡の中にある鏡の中ののびちゃんも、文字が直っているよね。
の:ほんとだ。裏返しの裏返しだからでしょ?
ド:そう。
の:そんなこと、考えたことなかったなぁ。
ド:のびちゃんがいつも向き合って見ているじぶんの顔と、鏡の鏡に映った顔はどうちがう?
の:似ているけど、ちょっとちがうね。
ド:ぼくが見ているのびちゃんは、その隣の方だよ。
の:あーそうか。TシャツのHelloっていう文字がさかさまなわけないもんね。

Empathemian「What’s left?」

What’s right is what’s left when everything is wrong.(どれも違っている時、残ったものが正しい)

の:ていうことはさ、どういうことなんだっけ?
ド:鏡にうつっているじぶんを見るじぶんが写っている。
の:こんがらがるなぁー。
ド:ややこしいけど、鏡はそうやってくりかえしうつすことになるんだよ。
の:鏡の鏡にうつったじぶんのほうが本物に近いの?
ド:左右が反転していないように見えるっていう意味では、そうかもね。
の:ふだん、じぶんだと思っているじぶんは、みんなが見ているじぶんとちがうわけでしょ。
ド:少しね。スマホで自撮りした時だって、おなじこと。
の:そうか。じぶんを写しているつもりなのに、左右がさかさまのじぶん。あ、じゃなくて。。
ド:むきあっているじぶん、だよ。
の:ややこしいのは慣れていないだけなんでしょ。

ド:そのとおり。脳の習慣だから。
の:客観的に見るってよく言うけど、鏡の鏡にうつすみたいなことなの?
ド:うーん。そういうことも言えそうだけど。
の:ちがうの?
ド:客観的っていうのは、あくまで他人の目で、外側からながめること。
の:そうだよね。じゃ、両方あるといいんだね。
ド:内側からじぶんと向き合ったり、さらに別の鏡にうつしたり。
の:なんだか、賢くなってきた気がするよ、ドラえもん。
ド:鏡の鏡のじぶんとは、向き合うことができない。
の:え?そうなの?
ド:やってごらんよ。
の:そっちのじぶんのほうを見ると、こっちを向かないね。
ド:目があわないでしょ。
の:ほんとだね。正面の鏡は、目があう。
ド:むきあうことのできる鏡と、端から眺める鏡。
の:どっちもいるんでしょ?
ド:いろんなふうに見て比べることで気づくことがあるってことだよ。

Empathemian『In the rearview mirror』

Nothing goes right. Go left, then.(何もうまくいかない?じゃ、残った方に。右側じゃなければ、左側に)

の:ドラえもんて、いつもこういうことを考えているの?
ド:あたりまえに思っていることは、たいてい「さかさま」があるよ。
の:ふーん、なるほど。
ド:それはさかさまじゃなくて、ふだんさかさまに見ているから。
の:この話はいつ気がついたの?
ド:バックミラー。
の:車の?
ド:そう。後ろのガラスにはったスティッカー。
の:あー、車の内側からはるやつか。あれ、逆さま文字だよね。
ド:外から読めるようになっているけど、バックミラーでも読める。
の:いろんなところに、裏の裏が見つかるんだね。

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鏡にうつるじぶん(3)[右と左の意外]へ続く

What’s left?(何が残っている?)

出典・参照:英語トレイル『Seed Story (5) Imagination takes you anywhere』、以下のエンパレットなど

修養のイノベーション (3) エンパシームでひらく路

静穏の鏡

声の鏡「円符の発明」