ん?どうしたんだろう?
前に並んでいた女性が、突然、泣き出しました。何かの思いが込み上げてきたのでしょう。
ある夕方の、地元スーパーのレジにて。
私の番は次。ぼんやりと、あたりを眺めていただけなので、はじめ、何が起こったのか、よくわかりませんでした。
すると、レジの女性がカウンターから出てきて、すぐさま、その中年女性をギュッと抱きしめたのです。
It’s OK. (いいのよ)
レジの女性は、学生さんかな?と思うぐらいの若さです。娘が母親をいたわるような光景でした。ふたりが抱きあっている、ほんのひと息ぶんの時間に、私もその場の一員になったようでした。
頭の中で、時間を巻き戻します。前の女性は、レジで赤ワインを1本、差し出しました。レジの女性は、笑顔で迎え、ひと言、声をかけました。そのひと呼吸後、思いがこみ上げてきたのです。
ハグがほどけるや、女性は私の方を向き、顔の涙を手でこすりながら、半分笑顔で、こう言いました。
I’m sorry.(ごめんなさいね)
レジの女性のことばは「今晩は、お祝いね?」だったのでは? ふと、そんな気がしました。
It’s okay.(かまいません)
You’re not alone.(みんな、おなじ)
亡くなったのは、身内のだれかはわかりません。いえ、事情はわかりません。
ただ、察せられるのです。事情よりも、ただ、みんな、おなじだということが、じんわりと伝わってくるのです。
出典・参照:『英プラ』 トレイル 1 (15) Come on in. 坂口立考『毎プラガイド』
You’re not the only one.(miniプラ・ドリル編・相手)