
Your voice shapes who you are.(声がじぶんをつくる)
レストラン案内の記事を読めば、どんなお店か、わかります。写真を見れば、どんな料理かも分かります。
では、料理をつくっている人の「思い」はどうでしょうか?
料理から伝わるものもあるでしょう。でも、食べただけではわからないことが、たくさんあります。
ふだん、本人がことばにしていない思いもあります。
カルボナーラは、生クリームは一切使わないですね。
シェフの水口さんの、何気ないひと言。
ローマの伝統的なカルボナーラは、卵とチーズを使い、生クリームを加えません。(*注2)
一方、自家製のリモンチェッロ (Limoncello) は、レモンだけではありません。

「ユズチェッロ」があります。
水口さんは、柚子(ゆず)、柚香(ゆこう)、伊予柑(いよかん)、香母酢(かぼす)、平兵衛酢(えべす)といった柑橘(かんきつ)でつくります。(*注3)

店内のあちこちに、スヌーピーが隠れています。
好きなものを語る時、その人の輪郭が浮かび上がります。
人の思いは、ことばにならないまま、内側にあります。じぶんでも意識していないことや、気づいていないこともあります。
何気ないひと言に見え隠れする、暗黙の思い。
声に出すことで、そのことばをすくいとります。
見えなかった心が、少しずつカタチになっていきます。
作(文・挿絵・声に出すことば・声):坂口立考
出典・参照:水口拓『味も心も自家製イタリアン|Primo Passo』、以下のエンパレットノートなど
(*注1) Primo Passoは、イタリア語で「はじめの一歩」「踏み出す」という意味です。東京・牛込柳町のカジュアルイタリアン「プリモパッソ」。
(*注2) ローマの伝統的なカルボナーラには、生クリームを使いません。卵とチーズのソースは温度によって状態が変わり、熱しすぎると卵が固まり、時間がたつとなめらかさも失われていきます。生クリームを加えると、ソースの状態を安定させやすくなります。
(*注3) リモンチェッロは、レモンの皮をアルコールに漬け込み、砂糖を加えてつくるイタリアの伝統的なリキュール。チェッロは「小さい」を表すことば。
