Empathemian『You’re the equation』

You’re the equation.(じぶんが方程式)

勝利の方程式。成功の方程式。幸福の方程式。

広告やマーケティングでは、よくこんなフレーズが使われます。

たとえば、こんな式です。

⚫︎ 努力 + 知識 + 先生 = 上達
⚫︎ 目的 + 習慣 + 環境 = 継続
⚫︎ 健康 + お金 + 趣味 = 幸福

たしかに、わかりやすい。
そういうものが本当にあるなら、知りたい。
教えてもらいたい。一瞬、そう思うかもしれません。

でも、どこかに違和感が残ります。

なぜでしょうか。

それは、右側が、他人の結果だからです。

成功。勝利。幸福。上達。

それは、誰かがそう呼んだもの。
誰かがたどり着いた場所。
誰かの物語です。

同時に、左側も、まだ自分のものではありません。

努力。知識。先生。環境。習慣。ノウハウ。幸運。

それは、まだ自分が体験していないこと。
まだ試していないこと。
まだ確かめていないこと。

右側は、他人の結果。
左側は、未体験の材料。

いくら方程式のように見せられても、まだ自分の式ではありません。

左側を適当に並べても、右側にはならない。
右側を先に決めても、自動的に左側ができるわけではない。

右側と左側は、別々につくるものではありません。

やってみるうちに、何を「上達」と呼ぶのかが変わる。
続けてみるうちに、何が「継続」を支えているのかが見えてくる。
失ったものに気づくうちに、何を「幸福」と呼ぶのかも変わる。

右側が変わると、左側も変わる。
左側を生きると、右側も変わる。

まるで、方程師がはかりの上で、分銅を入れ替えるように。
その試行錯誤の中で、だんだんつりあいが見えてくる。

右側も、左側も、はじめから外にあるのではありません。

自分の行為の中で、少しずつ形になる。
自分の体験の中で、何と何がつりあうのかが見えてくる。

努力だと思っていたものが、実は「くり返し」だったと気づく。
知識だと思っていたものが、実は「見分ける力」だったと気づく。
先生だと思っていたものが、実は「映してくれる相手」だったと気づく。

だから、右側も、自分でつくる。
左側も、自分でつくる。

というより、右側と左側は、じぶんの行為の中で一緒に立ち上がってくる。

方程式は、外にあるのではありません。

そうです。
じぶんが、方程式なのです。

作(文・挿絵・声に出すことば):坂口立考
出典・参照:以下のエンパレットノートなど