共感の精錬 (3) アルマデンの上を歩く
アルマデン鉱山跡を歩きながら、日本列島の丹生の路にも思いをはせる。日本は丹の産地すなわち水銀朱という地下に眠る天然資源を探しあて、それを採掘して精製した技術と産業経済史の宝庫でもある。アルマデンで拾った鉱石のかけらには、地球の歴史が凝縮されている。じぶんが地球だったら、この岩石は皮膚の一部であり、来歴の記憶なのだ。
アルマデン鉱山跡を歩きながら、日本列島の丹生の路にも思いをはせる。日本は丹の産地すなわち水銀朱という地下に眠る天然資源を探しあて、それを採掘して精製した技術と産業経済史の宝庫でもある。アルマデンで拾った鉱石のかけらには、地球の歴史が凝縮されている。じぶんが地球だったら、この岩石は皮膚の一部であり、来歴の記憶なのだ。
丹(に)は、朱色の鉱石。古来より、文明の興亡、人間の歴史・文化に特別な影響を与えてきた希少資源。硫化水銀(朱)と水銀(ミズカネ)。地球という私たちの住処にはわずかしかない特殊な鉱物が、人間のいのちの営みとも、想像の世界とも深い関わりを持ってきた。日本列島も、古代から現代まで、各地に刻印を残してきた鏡のような存在である。