あんずのインスピレーション

横長の綿雲が群をなし、空低く、ゆっくりと移動している。空に向かって垂直にのびた赤い枝の先に、小さな白い花がひとつ。淡い春の光に安心して、枝の中に蓄えていた力が湧き出てきたかのようだ。柔らかい花びらに顔を近づけると微かに甘い香りがする。この夏、どっしりと腰をすえたような太い幹に支えられた空間に、土と光と空気の恵みを集めて、独特の甘みを備えた柔らかい橙色の実に結ぶ、アプリコット。ここは、あんず畑。