プラクティス設計の全体像

プラクティスの全体像がわかる設計

毎日一歩ずつ進むプラクティスの道のりを「トレイル」と呼びます。トレイルの特徴は、習得すべき内容(教える立場の視点でつくられた教材)だけでなく、それを習得するためにかかる努力負荷、時間を捉えた全体プラン(学ぶ立場の課題を踏まえた教材)として念入りに設計されていることです。

山路を歩くには、地図が必要です。どんなトレイルがあるのか、どういう順に進むのか、を知らずに歩き始めることはありません。同じように、学習内容の道筋を示したマップをもとに、じぶんのペースで着実に歩いていけるような、プラクティスの習慣づくりのために、トレイルを設計しています。

また、歩いている途中、歩き終えて、歩いた路をふりかえる楽しみとおなじように、プラクティスの成果、上達の軌跡をはっきりと確かめることができます。「習慣をつくる」とは、じぶん自身がはじめの状態から徐々に変化し、それが確かめられることです。トレイルは、段階ごとにふりかえりながら進んでいくプラクティスの路です。

ひと息ごとのセリフ(Seed)単位で全体構成

トレイルは「ひと息ごとの声セリフ」という2秒ほどの発話(Seed) 2,500個を、対話式に組みあわせ全体を構成しています。単に日常会話の例文を集めただけではありません。統計的に頻度や重要度を分析し、さらにそれらを組み合わせて「使えることばのつながり」をつくるために考案された、プラクティスのための「セリフのコーパス」です。(コーパスとは、ことばのデータベースを言います)

英プラは、リズム、音、意味、表現の情報を伴ったひと息単位のセリフが、エンパシームで結びついたコーパスとして設計されています。

ひとつ目は、「ふだん無意識的に話し、聞いている日本語」と「あらたに習う英語」との「ちがい」に「どのようにしたら気づき、置きかえることができるのか?」という課題です。言いかえれば、「いったい、具体的に何をプラクティスするのか?」ということです。

英語の習得は、母語でおこなう、それ以外の学習とは決定的に異なる点があります。一見、ほかの学習科目とおなじように、知識の習得が勉強の中心のように思いがちですが、実は「じぶんに気づけること」(じぶんで、じぶんのふるまいのちがいに気づくこと)が英語学習の本質なのです。

ネイティブによるお手本 Seedは、以下の基準をもとに編集されています。

・英語を使える人になるための必要な基礎、統計的な頻度
・日常生活(主としてアメリカ)における表現、現代の国際的な英語の実用性
・日本語を母語とする英語学習者にとってインパクト(ちがい)の大きい要素

お手本 Seed と、じぶんでつくるシードを見て、聞いて比べ、そのちがいに気づくことが、プラクティスの中に組み込まれています。

プラクティスの全要素を統一的にデザイン

英プラは、プラクティスの全要素(プラクティス手順、説明の形式、アプリ、カード、ガイドなど)統一的に、またコンパクトに編集しています。

トレイルは、100の学習テーマにそって進みます。手にフィットするサイズ(スマホ画面とおなじ大きさ)で、1日カード1枚(1gのカードの中に1日分のすべてが入る)。Seedは、ほとんどが1行で表示されます。

手のひらにはいる小さな量に凝縮した内容、そのデザインと形式を統一し、余計な負担を極力へらします。使う道具、プラクティスの手順作法を一貫させ、いつでもおなじようにできるようにすることが、ルーティンを深く定着させる力になるからです。

毎日、1枚分の手本 Seed 配信がエンパシームアプリに届きます。いっぺんに多くのプラクティス内容をこなすのではなく、毎日に着実に進みます。。リズムと音、意味の理解を順に学びながら、着実に進めることに配慮しています。

英プラ「3つのトレイル」基本データ

・100のテーマは、3つのステージ(トレイル1、トレイル2、トレイル3)
・それぞれのトレイルを3周ずつ、くりかえして進む
・トレイルごとに、プラクティスの目標をもち、ふりかえる

トレイルを3周すると、ひと月ほどの間隔をおき、おなじセリフを3回くりかえすことになります。それをエンパシームに残すということ、またその都度、気づきを深め、じぶんの変化(上達)をあとで確かめられるようにするためです。「ちがいに気づく習慣」は、手本とじぶんのちがい、じぶん自身の変化、という両面があります。トレイルによって、変化の軌跡をつくれるのです。

それは「がんばって勉強する」という一般的な学習意欲のことではなく、声に出すことばに、いつも心を寄せる「姿勢と思い」を身につけることです。

じぶんでするつもりのないことは、ほとんど身につかないのは、言うまでもありません。でも、それは努力する意識の力だけではないのです。「そのつもりになる」とは、「いつでもおなじようにふるまう状態」をつくれることです。構えず、無理なく、その方向にしむけられる環境をつくることなのです。

Seedごとに「ツボ」ノート

英プラは、1日15分から30分を目安にして、プラクティスを日課にします。慣れてくると、集中している時間は短く感じられるものです。エンパシームは、静かにすわり、力まず、集中している短い時間を活かします。意識せずにスムーズにプラクティスができる時はもちろん、それ以上できることはもちろん、できない時でも、エンパシームをひらき、Seedをひとつでもつくれば、自然な流れで日課になります。

 Seedごとに手本を聞き、近づけるプラクティスをし、そのセリフについての「ツボ」(説明、ガイド)を読みます。

・1周目は、英語の特徴であるリズム、音について。英語と日本語のちがい。
・2周目は、意味、文法も踏まえたことばの使い方、表現について。ものの捉え方のちがい。
・3周目は、なぜそういう意味になるのか、一歩踏み込んだ説明やセリフに関わるストーリー 。

手本とじぶん自身との微かなズレやちがいに対する「気づく力」を育むことで、バラバラな知識が、結びついていきます。一見、取るに足らなさそうな小さなちがいの中にこそ、日本語を母語とする英語学習者にとっての上達の秘密が隠されているのです。

「ツボ」は、Seed毎に、発音のちがいや、ものの捉え方のちがいがわかるように、ひとつひとつ具体的な説明やアドバイスがつけられています。やる前にたくさんの解説を聞くのではなく、じぶんでやった後に、肝心なところにフォーカスして、ピンポイントに押す解説です。

ネイティブの手本Seedは1周目は女性、2周目は男性、3周目は両者の組み合わせです。

なお、ツボノートと後述のminiプラ(プラクティスのための動画コンテンツ)をあわせ、英プラは、英語学習の総合リソースとして活用できます。

手本とじぶんのちがい、じぶん自身の変化がわかる

リズムと音:最もクリティカルなものから

日本語を母語とする英語学習者にとって、最も影響が大きく、統計頻度の高い、リズムと音から、順にプラクティスします。

道筋としては、強弱のリズムからはいり、子音(風切り音)、母音(アゴ、くちびるの形や舌の位置、ノド奥共鳴など)と進む中で、特に「弱く、短く、速い」音などを、じぶんひとりでは気づきにくいところをかみくだき、プラクティスしていきます。

「弱く短い音」をめぐって、日本語と英語では大きなちがいがあります。たとえば「英語が速すぎて、聞き取れない」理由は、「じぶんではそのように言えない」からです。なぜ言えないのか?それは、自然にずれてしまう複数の要因が重なるからです。

① 強弱リズムが特徴である英語のセリフを、ひと息でアウトプットすることに慣れていない
② 文字で暗記した単語の積み上げで文を読むように言うために、間に合わない
③ 日本語の特徴であるカナモジ音(母音)が無意識のうちに入り、リズムがずれる
④ 日本語にはない英語の子音、二重母音の発音が欠けているために、リズムがずれる
⑤ カタカナで日本語になっていることばのとおりに強く長く言うために、リズムがずれる
⑥ これらを背景として、英語とじぶんの出すセリフのちがいに、気づけないままでいる

①②は、お手本を聞いてプラクティスするだけで速く言えるようにはなりますが、③④⑤⑥は、お手本とじぶんを比べてみる必要があります。これらの現象は、1秒以内の、短い時間で連続的に起きる現象です。したがって、その部分をかみくだいて気づかせてくれるきっかけがない限り、漠然としたままだということです。逆に言うと、それらのことに気づけさえすれば、具体的にプラクティスができるわけです。

じぶんで使えるボキャブラリー

英プラトレイルは、単語数だけをみても、ネイティブの日常会話の90%以上をカバーしていますが、これはあくまで一般的なひとつの目安です。それ以上に大切なのは、セリフとしての頻度、そのセリフに代表されることばの使い方や実用パターンです。単語ひとつが単独で発話されることはほとんどありません。

リズム、音、意味のやりとりを一体のものとすることで、文法的な内容も自然にカバーされます。説明は日本語の文法の教科書でも、英語の例文を覚えることが、文法学習の中身です。であれば、生きた英文であり、じぶんで使う目的のSeedで身につけてしまうことが、効果的です。現に、母語である日本語は、文法として習わずとも、そのように身につけてきたわけですから。
トレイルを進むにつれ、それまでに出てきたことばを復習しながら、ことばのパターンを組みあせて、じぶんで表現するプラクティスなども組みこまれています。 Seedを組み替えたり、組み合わせることが、ことばのつながりをつくるプラクティスです。

前述の「ツボ」にも、ことばの使い方についての踏み込んだ解説、Seedとして使える、関連するセリフをのせ、じぶんで使える表現を「組みあわせるプラクティス」ができるようになっています。(ツボとminiプラを含めた英プラ全体で、3000を超えるつながりパターンがあります)

「静かにすわり、ことばを声にする」場をつくり、自然な流れであなたのふるまいの「間」を捉えます。「間」とは、手の動き、呼吸や声の区切れで、切り取った「時間」です。いつ、どんな状態で、どのようにふるまったかなどの周辺情報を入れた「タイムカプセル」です。この情報を使い、エンパシームは、あなたのプラクティスを映す「姿勢の鏡」の働きをします。

特に、ひと息で、文字にしてもカード1行分で表現できる、短いセリフ文を自在に発せられることを念頭に「500の動詞」が含まれています。むずかしい単語よりもやさしい(ネイティブなら子どもから大人までが日常的に使っている)単語が自在に使えるためのプラクティスが、初級者はもとより、上達をめざす上級者にとっても大切な基礎になります。

やさしく簡潔な言い回しで何通りにも表現できることは、英語学習を発展させる中心的な力です。短いセリフの組み立てに慣れてくると、英語で辞書を引くことができるようになり、長い文章を書くことも、幅広い内容のコミュニケーションをとる自信がついてきます。

「気づきのカプセル」じぶんの姿をうつす鏡の働き

英プラを詳しく知ろう (3) 目・耳・手・口で身につける、2秒単位の声の出し入れ、100万回

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