Things happen.(ものごとは、起きる)
オー・ヘンリーの短編小説に『賢人の贈り物』という作品があります。
あるクリスマス。
夫のジムは、妻のデラにベッコウの櫛をプレゼントします。
デラのために、懐中時計を質に入れて買ったのです。
デラも、ジムにプレゼントを用意していました。
それはジムが大切にしている時計につける鎖でした。
それを買うために、じぶんの長い髪の毛を売ってしまいました。
オー・ヘンリーは、最後をこのように結びます。
「すべての贈りものの中で、このふたりのやりとりこそ、もっともwise(三賢人とは、イエスキリストの生誕に東方から訪れた三人の博士のことです。
彼らのお祝いの贈り物が、クリスマスギフトの起源です。
wiseは、賢い、知恵のある、といった日本語に訳されますが、体験や実践によって身につける知恵のことです。
頭がいいことではなく、「思い」がかけあわされ、習慣となって培われるもの。
和語の「かしこし」は、おそれおおい、ありがたい、貴重だ、という意味でした。
この話は、一見、失敗談のようで、実は貴重なできごとでした。
・じぶんが大切にしているものよりも、相手にあげること。
・お互いの思いにあらためて触れ、共感をたしかめることができた。
このような話は、偶然のできごとのようですが、実は時々、起こるものです。
こんな体験をしたことはありませんか?
・じぶんが言おうと思っていたことを、相手が先に言った。
・相手が言おうと思っていたことを、じぶんが先に言った。
・ことばにはしていなかっただけで、おなじことを思っていたんだ、と気づいた。
ふだんから、思っていることは、起きやすいのです。
貴重なこと、wiseなことは、突然、偶然起こるようで、実はふだんのおこないの中に種がまかれているのですね。
It’ll come for sure.(きっといいことがあるよ)
出典・参照:O. Henry『The Gift of the Magi』、英プラトレイル1 Come