I am being made.(じぶんは、しかかり)
ダニエル・デネットさんは、こう言います。
「私たちの頭の中は、出来事や計画、考えなどに関する、しかかり中のドラフトが複数存在する。そうしたドラフトの中で、もっとも多くの処理活動をおこなっているものが、意識である。」
意識は、中央コントロール室のようなものではなく、脳内に分散された情報である、というのです。デネットさんの考えは、意識が中央で制御する装置のようにして、自分自身の活動を支配していると考えたデカルトとは、正反対です。デカルトは、経験した感覚データを上映するスクリーンのようなものと考えましたが、デネットさんは、多元的ドラフトのようなものだと言います。
意識は、ドラフトみたいなもの。
私たちの日常では、じぶんの脳で起きていることは、想像するしかないですね。ただ、頭の中には、時間にも空間にも制約されず、自然にできあがったたくさんのドラフトがいろいろある、という話は、納得できるものがあります。こんなふうに、じぶんの頭の中を想像すること自体、小さなドラフトみたいです。
素材のピース、しかかりの、じぶん。
とすると、「じぶん」というものは、いろんな、しかかりの素材でできている、ということになりそうですね。
意識は、上からの命令じゃなくて、下から湧き上がってくる。無意識の土壌から、生まれてくる。小さなピースがつながって、断片ストーリーができ、それがドラフトになり、やがてひとつの物語になる。そんなふうに、じぶんを想像することもできます。
しかかりのドラフトなら、校正したり、修正していきたいですね。時々、風をいれたり、ゆっくり寝かせたり、あるいはいくつかをうまく組みあわせたりして、新しいじぶんをつくりたいもの。
ぼんやりしているときに、ふと思いついたりすることも、大切な素材になりそうです。「じぶん」という、ほとんどは無意識の土壌の手入れをするように、ドラフトに手をいれる愉しみ。 どんなことだって、きっかけになります。だって、いつもドラフトなんですから、気楽に。ドラフトに手を入れるたのしみ。
Put it together.
出典・参照:ダニエル・デネット『解明される意識』、『英プラ』 トレイル1 (31) Put the pieces together.以下のエンパレットなど