Empathemian『Apricots in Sunnyvale』

サンフランシスコ湾が内陸にいりこんだ地帯は、シリコンバレーとも呼ばれます。

このあんず畑(写真)のむこうにコンピュータ歴史博物館があります。

そこに、バベッジの「自動計算機」が展示されています。(注1)

チャールズ・バベッジは、コンピュータの発明に心血を注いだ人です。

何でも「計算する」機械をつくりました。
ただ、生きている間にそれをつくることはできませんでした。
バベッジの発明を再現した機械が、いまそこに展示されているのです。

コンピュータの歴史というと?

・古くは算盤そろばん

関数かんすう(注2)

・パスカルの計算機、ライプニッツの計算機

・アラン・チューリングの「一定の手続きの組みあわせ=アルゴリズム」(注3)

・フォン・ノイマンの「手続きを記憶させる=プラグラム」(注4)

バベッジは、あまり知られていませんが、コンピュータという思想の先駆者です。

バベッジは、道具としての計算機から、システムとしての自動計算機を発明しました。
計算の業務が工場の労働に似ていることに着目して、作業の機械化を発展させたのです。

コンピュータというと、計算能力(どれだけすごいか)ばかりが取りざたされますね。
でも、コンピュータはそれ以前に、「人間と共に働くもの」という思想でもあります。

それは、人間を含めた全体を、システムとして考えることです。

機械を、生活や仕事を共にする相手と考えること、そのものが、コンピュータの本来の思想だったのです。

「考えを発明する② 答えではなく、問題を見つける」へつづく

I am also a computer.

出典・参照:Charles Babbage『On the Economy of Machinery and Manufacture, 1832』

「チャールズ・バベッジ」

「Computer History Museum」

「The Babbage Engine」

Who invented the Computer? (Computer History Museum)

(注1)展示は、「Differential Engine No. 2」、「自動計算機械」は Analytical Engine。

(注2)関数は、数のことではなく、手続き・機能を意味します。英語のfunctionの翻訳で、中国語「函数」から来ています。Y=3X という式のXという箱に数字を入れると、計算がされるわけですので、小さな「コンピュータ」の働きをするものです。

(注3)一定の手続きの組みあわせによって表現できることは、すべて演算として処理できるという考え。(一定の計算式に従って計算(calculate)することを演算(operation, computation)とよびます)

(注4)ある手続きの組み合わせ=プログラムをコンピュータに記憶させておく方法が、現在のコンピュータの基本です。