身につける心得 / 19.内語唱えて日々を重ねよ / 内語唱えて日々を重ねよ

内語唱えて日々を重ねよ

ことばは、人と交わすためだけのものではありません。私たちは声に出さずとも、心の中で会話を思い出し、考えをめぐらせる時、内なることば「インナースピーチ」(内語)を使います。

インナースピーチは、無意識のうちに心の中で発する短いセリフ。生涯を通して、私たちは1億回もの「声なきひとり言」を紡ぎ、そのくり返しの中で「じぶん」という意識を形づくっています。

例えば、感謝、親切、勇気。これらの「概念」は、心の中でセリフにしない限り、私たちの気持ちとして意識されません。内語こそが、私たちに気づきと意味を与えてくれる媒体なのです。

インナースピーチは「読む・書く・話す・聞く」という言語機能、思考の要です。文字を読んで覚える時でも、脳のワーキングメモリが2秒ほどで音の連なりに変えて処理します。

言語習得とは、頭の中に文字を書き込むことではありません。脳に文字は書かれません。新しいことばは、声に出し、内語として取り込み、また声に出す——この出し入れの「身体的な行為」を通して身につくのです。

特に英語習得は、その典型的な体験です。心の中にまだ英語のセリフがない白紙の状態から、少しずつ内語をタネとしてまき、育てていくプロセスだからです。つきつめて言うと、言語の習得とは、声のセリフを内語化することに他なりません。

このメカニズムを活かせば、じぶんの心を励まし、行動を促すことができます。思いは、放っておけばすぐに消えてしまいます。しかし、じぶんを支えてくれることばをインナースピーチにすることで、ことばがあなたを見守り、思いを育て、行動に導く、いちばん身近な友になります。

内語を育むことが、じぶんを育むこと行為になります。なぜなら、それはただの文字列ではなく、あなたの身体で響く肉声だからです。文字通り、声のことばで、身体の中に、思いのタネをまいて育てるのです。

何が育つのかといえば、あなたの内なる力です。自助力 (Self-Agency) です。自助力を発揮させることばのインナースピーチの数々が、脳内でネットワークをつくり、あなたの可能性を広げてくれます。これからのじぶん自身の成長ストーリーを創り出し、自らその語り手になれるからです。

 Internalize your aspiration into Inner-speech.
(身につける 内語唱えて 日々重ね)