踏み出す心得 / 03.毎日のクセの引き算 / 毎日のクセの引き算

毎日のクセの引き算

歩く、話す、食べる。身体で身につけるとは、すべて、毎日することです。例外はありません。

あなたは、毎日ごはんを食べ、毎晩歯を磨きますね。週2回の食事や、週休2日の歯磨き、などというものはありません。大谷翔平選手は「忙しいから」といって、バットを握らない日があるでしょうか?

なのに、私たちはなぜ「英語を聞く・話す練習は、たまにやるだけで十分」と勘違いしてしまうのでしょうか?その理由は、英語を「知識として覚えること」こそが学習だという思い込みにあります。

知識を取り入れ、コツを教わればすぐに上達できると思いがちです。しかし、知識やコツはモノではなく、行為を通じて初めて自分の脳と身体に刻まれるものです。

外から足そうとするばかりで、自分の中にある「学習スキーマ」(Schema = 無意識に使っている、学び方の型やパターン)のズレを埋めようとしないと、その放置されたままギャップがボトルネックになり、身につけるのがますますむずかしくなります。

本当に必要なのは、知識の「足し算」以前に、クセや思い込みの「引き算」を積み重ねることです。この引き算とは、行為のアウトプットをくり返し、手本とじぶんのスキーマのギャップを減らしていくプロセスです。

プラクティスの核心は、気づきと修正を重ねながら質を高め、段階的にしきい値 (Threshold) を一つずつ超えていく、日々の「つみへらし」(引き算の積み重ね)にあります。それではうまくいかないよ、と確実に言えることをへらしていくのです。

わずか0.1%の微細な改善は、脳に新しい神経回路を築き (Rewiring)、それを少しずつ書き換えていくための変化の目安です。それを毎日積み重ねることで、掛け算の効果が生まれ、大きな変化へとつながります。逆に言うと、1日にできる改善は限られているので、やりだめはききません

三日坊主は「意志が弱いから」ではありません。知識を足すだけ・やる気に頼るだけで練習しようとする誤解が、「うまくできない、やってもダメ」「続ける意味がない」という自己判断や理由づけを生み、練習を妨げてしまうのです。

プラクティスの質が高まることで成果が生まれ、「質の向上こそが成果を導く原因」であることを実感できます。この気づきが継続の自信を生み出し、破綻のない循環をつくります。

Practice is daily subtraction. Trim the habits that hold you back.
(毎日の クセの引き算 つみへらし)