
原因の気づきがカギ
原因はじぶんの中にある

「いい教材ないかな?」「短期間でやれる方法ないかな?」「いい先生に教えてもらえばうまくいくかも」——だれでもそんなふうに考えがちです。けれど、教わったとおりにはいかない。思ったようには進まない。そして、気づけばもう続かなくなっている——なぜでしょうか?
それは、私たちがつい原因や答えを自分の外に探そうとするクセを持っているからです。「教わればわかる」「知ればできる」といった知識の過大評価や、「誰かに教わらないと踏み出せない」という依存心——これらは人間の心理に深く染みついた、外に原因や答えを求めるクセです。
外に答えを求める習性

しかし、つまづく原因も、続かない原因も、すべて自分の内にあります。内にあると言っても、「やる気をだそう」「もっとがんばろう」という精神論ではありません。ここで言う「内」とは、私たちの脳が情報をどう捉え、どう意味づけるかという「認知」の特徴を指します。
これは、私たちの脳が「リアルタイムに体験する自分」と「記憶して後から解釈する自分」という二つのモードがあり、後者が体験を単純化し、自分が理解しやすい形に意味し直す働きをするからです。


Keep cutting back.
(つみへらせ)

認知の特徴とバイアス

理解しやすい形とは、無意識のうちに自分の都合にあわせて理由づけしたり、正当化したりすることです。こうした「クセや思い込み」は認知バイアスと呼ばれますが、誰にでもあります。例えば今でも「いい教材や先生、いい方法がないから、自分にはむずかしい、できない、続かない」と思っていませんか?
でも、鏡がなければ自分の顔が見えないように、こうしたバイアスにはひとりでは気づきにくいものです。あなたの頭の中で起きていることは、外から誰かが教えてはくれるものではありません。なぜなら、それはあなた自身にしか気づけないことだからです。
自分を変えるカギ

だからこそ、「自分のことはわかっているつもりでも、実はわかっていない」——この制約を受け入れることが原点です。この原点を持つことが、自分に変化をもたらすための強力な武器になります。自分自身に気づかせる流れをつくる。内にある原因が表れるようにしむける。内なる原因を変わるためのカギに変えるのです。
それは決して「自分は下手だ」とか「むずかしい」と決めつけることではありません。そう言わないだけで、前に進む力が生まれます。気づきとは、手本と比べてズレを具体的に体感すること。その実感こそが、自己流のクセを手放し、前進の原動力になります。
Look within. Causes turn into keys
(内をみよ 原因こそが 変わるカギ)