have to = ハフトゥー(ねばならない)ではない

学校で、こんなふうに教わりませんでしたか?

“have to”は、イディオム(決まり文句)である。
“must” (ねばならない)とおなじ意味。

しかも、「ハフ・トゥー」と読む。

でも、疑問に思ったことはありませんか?
haveは、何かを持っている、という動詞。
それが、to (〜へ)と、つながって、なぜ、「ねばならない」という意味になるのか?

ヒントは、have
文字通り、何かを「持っている」はずです。
それは?

実は、持っているはずの対象が省略されているのです。

I have a place to go.
I have to go a place.
(行かなければならないところがある)

行くべき「場所」ということばが省略されています。

I have to do something.
I have something to do.

(やらなけらばならないことがある)

すべき「こと」ということばが省略されています。

have (持っている)の対象は、義務や必要性です。

I have an obligation to go (…)
I have an obligation to do (…)

(…の義務がある)

よくあるセリフであるため、義務は省略されました。
ことばは、時代とともに変化(進化)します。

“have to”という記号に「ねばらならない」という意味があるわけではありません。
セリフ全体として、〇〇しなくちゃ、という意味合いを含んで、使われるようになったのです。

では、「ハフ・トゥー」と読む、はどうでしょうか?

実は、have toだけが特別な発音をするのではありません。

I got it. は「アイ・ゴット・イット」ではありません。
I got itで表すことになった音声があり「アイガリッ」のようには聞こえるかもしれませんが、「ト」という発音はどこにもないのです。

本当は、すべてのセリフ音声が、カタカナ表記の音とはちがうのですが、
たまたま、この”have to”が決まり文句なので、「ハフ・トゥー」という音がくっついている、と教えられるようになったのでしょう。

英語の音は、日本語の音とはちがいます。

英語は文字に音がくっついているのではありません。
セリフの音声が先にあって、それを文字で表します

ことばは、相手とのやりとりの中に意味がうまれるもの。
字面に意味や音がくっついているのではありません。

”have to”というフレーズだけでは、話せないのです。 意味もまた、ひとつのセリフになりたつもの。

疑問に思ったことは、原点にかえると気がつくことがあります。
うのみにせずに、じぶんで考えてみるだけで、ことばのセンスはぐっと身につきます。

Let’s check!

英語耳°は、音を覚えてから、セリフ音に文字をつけて身につける

日本語耳°の習慣は、つねに「文字を読む」という意識にある

音読ではなく、覚えた音、声のセリフに文字を結びつける練習